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21年振りに見た21世紀のCOMPLEX 2011.08.05

SN3F1790.jpgあれから早一週間、21年振りのCOMPLEXの余韻から未だに醒めないでいる。

仮に再結成をするならば事実上の解散からちょうど20周年にあたる去年が絶好のタイミングだったのではないかと余計なお世話なことを考えていたが、東日本大震災のチャリティ・ライブという体でまさかの再結成なのであった。
つくづく、時代に呼ばれるユニットなんだと思う。

ベルリンの壁の崩壊(ドイツの東西統一)を唄った「THE WALL」、東西冷戦の終局をテーマにした「DRAGON CRIME (EAST & WEST)」、天安門事件からインスパイアされた「AFTER THE RAIN(朱いCHINA)」等、セカンド・アルバムは当時の世界情勢を扱った楽曲が多かったが、今回の復活が国難からの復興支援という目的だったことを考えても、社会と関わることで至上のビート&メロディを打ち鳴らすという命題を課せられたユニットなのかもしれない。

そんな堅い話は抜きにしても、一流のエンターテイメントとして純粋に楽しめた。

吉川さんは往時に比べてアクションが抑え気味になった代わりに(シンバルキックは3回決めたけど)歌声に艶と深みが格段に増したことがよく窺えたし、布袋さんの生まれながら携えたスタァの資質は眩しいくらいだった。
「華がある」という表現はあんな2人みたいな人たちのためにあるのだろう。

当時、ロックとデジタルの融合性やユニットのコンセプトといった全体的な方向性は布袋さんが握っているように思えたが、貫禄を兼ね備えた吉川さんの風貌も相俟って、再結成のステージは視覚的にもイーブンに見えた。

21年前のセットリストとほぼ同じだったはずの演目、両者の21年間の足取りがしっかりと刻み込まれていたのをパフォーマンスからも歌と演奏からも実感できた。

僕は断然、今のほうが好き。
若さゆえの暴走、荒削りな部分はその良さを残しつつも円熟のまろみを湛えていたのが非常に印象深かった。

まぁしかし、終盤の「GOOD SAVAGE」〜「恋をとめないで」、アンコールの「1990」〜「RAMBLING MAN」の流れは圧巻だったなぁ。
文句なしに格好良かった。
そんなアホみたいな言葉しか出なくなる、あれだけキメキメのパフォーマンスを見せつけられたら。

「AFTER THE RAIN」。
当然〆はこれしかないと思っていたが、震災の復興支援ライブをやる上でこれ以上のナンバーがあるだろうか。
実際、あの忌まわしき震災以降に個人的にも励まされた一曲、もとい逸曲である。コンプの復活ライブが発表される前からよく聴いていた。

でもやっぱり、「RAMBLING MAN」なんだなぁ。

たかがお前のことなんて
世の中誰も知りやしない
You're just a RAMBLING MAN
思い知らせてやれよ


この歌に今までどれだけ励まされたことか。
初めて聴いたのは高校2年の時だ。そりゃ刻まれる。
言うまでもなく、涙腺決壊である。
オープニングで両者が握手をした時とエンディングで抱擁を交わした時と、計3回泣いた。

いずれにせよ、こちらの過度な期待を100倍超えさせてくれたライブをCOMPLEXという演者と彼らを支える数多くのスタッフが魅せてくれたことに違いはない。

帰路、総武線の大混雑もあるのだが、興奮のあまり水道橋から大久保をひたすら歩いた。ざっと1時間余り。居ても立ってもいられず。
そんな衝動を与えてくれたのは確かな一夜なのであった。

こんな夜があるから頑張れる。
立ち止まらないで、目を放さないで、終わりのない駆け引きを続けよう。
走り出さなきゃ意味がないんだから。

プロフィール

椎名宗之(しいな むねゆき):音楽系出版社勤務を経て2002年1月に有限会社ルーフトップへ入社、『Rooftop』編集部に配属。現在は同誌編集局長/LOFT BOOKS編集。本業以外にトークライブの司会や売文稼業もこなす、前田吟似の水瓶座・AB型。

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