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成宮アイコ編集部日記タイトル

風景に飲まれて、わたしたちはちゃんと生きている 2017.02.08

バレンタインも近いというのにいまだ2016年の健忘録をひきずっています。残りの3つのできごとを書き記して、次回からは2017年にいこう。忘れたくないことがたくさんあるんだよ。
 
2016/12/11 こわれ者の祭典in新潟
 

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テーマはLGTB。終始明るいイベントとなったのは、それぞれに笑うしかないようなやりきれない過去があってそれを人と出会って共感をすることで自分の心になっているからかなぁ、と思った。
 
ライブ終了後に「されど、望もう」を聴いてくれていたLGBT当事者のかたが「詩の内容が、わたしたちセクシャルマイノリティにとっても当てはまるし、かなり重要なことだった」と言ってくださった。感情はいろんなことを超えていくのだな…言葉ってすごいな。とても嬉しい。
 
2016/12/18 釜ヶ崎難波屋ライブ
 

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目の前には生活感のない高層マンション。
振り返れば、飛田新地。
背中には家のあかり、ボクシングジムの蛍光灯、たこ焼き屋さんの電球。
屋根がななめになっている古い民家からお味噌汁の匂い。
「おにーちゃん、この子いい娘やで」と呼び込みの声。
風景に飲まれて、わたしはちゃんと生きている。
 
甘ったるい50円の缶コーヒー。
ボロボロに破けたソファで食べる150円のこぶうどん。
パッケージが色褪せた熟女AV。
真夜中の怒号。
街中に漏れているカラオケ。
寂しさと欲望と怒りと、隠しきれない人間味。
こんなに寒い、12月の商店街。
「ねえちゃん、寒いなあ」と声をかけてとおりすぎていく自転車のおっちゃん。
今年もまた、雪が降るだろうか。
(コラボレーション「釜ヶ崎へ」より)
 
釜ヶ崎でしか読めない言葉がある。竹田の子守唄を聴くと、なぜかいつも過去に置いてきたまま届かなかった幸せな家族の光景が浮かぶ。寒い新潟、1月、雪降る風景に消えていった父親の後ろ姿。いつもどこにいても「ああ帰りたい」と思うんだけどそもそも実家もないし、帰る場所なんて最初からなかったから、だからどこにいても帰りたいって思うのかもしれない。だからそのたびに「いいか、そんなものないんだぞ!今生きていることを大切にするんだぞ!」って言い聞かせている。(この日の様子はこちらから写真が見られます
 
成宮アイコ&垣井しょうゆ「あなたが人間なら+竹田の子守唄」 
「ここ釜ヶ崎でわたしを娘みたいだと笑う、お父さんあなたと似た男性に出会います。
深くは聞きませんがきっと、お父さん、
あなたと同じような過去があるのかもしれません。」
 

 
2016/12/23 千葉(出張版こわれ者の祭典)
 
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この日、ライブ前にスタッフのかたから聞いたお話しに、びっくりして息がとまりそうになった。数年前から新潟や東京のライブに、ずっと来てくださっていた「うみかめさん」が、病気で亡くなられていた、と。そのスタッフさんをはじめ職員のかたみんなに、わたしが出ている新聞の記事や、ニュース、連載していたブルーズマガジンまでも配ってくれていたそうで、「すごく励まされたから自分も頑張るんだ」と言ってくれていたそう。
 
このイベントのスタッフの方はとても人数が多くて、全員とお話をしたことがないくらいなのにどの方もわたしのことをよく知っていてくださったのは、うみかめさんのおかげだったのか・・と気づき、嬉しいのと悲しいのとで楽屋で泣いた。目の前ではこわれ者の祭典のボスがおもむろに服を抜き出し、衣装のボロボロのパジャマに着替えはじめももひき姿のままわたしに「どうしたの?!」と聞いてくるものだから、思わず鼻水が飛んでしまった。
 
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うみかめさんのことはとてもよく知っていた。けれど直接連絡をとっているわけではないので、最近ライブで見かけないしSNSも更新しないな・・と気づいてた時点で「現実の生活が充実して忙しいのかな」なんて思わずに、念の為にどうにか連絡を取るか調べればよかった。だけど、月乃さんがこれまでに何度も言ってくれた「まずは自分の人生を生きること」という言葉は、こういうとき、ぶれた軸を戻してくれる。まずは自分が生きること、そして、生きている人に何ができるかを考えること。それがわたしのやることだ。
 
主催者の方たちが舞台袖で「今日のライブはアイコちゃんと一緒に追悼の気持ちでいるから、思い切り叫んでね」と言ってくださった。握手をしてから、またちょっと泣いた。
 
本当はこの日「されど、望もう」を読もうと思っていたけど、急遽「あなたのドキュメンタリー」に変更。この詩はツイッターで募集したエピソードをもとにして作った詩で、うみかめさんが送ってくれたエピソードも入っている。
 
うみかめさん、この詩はわたしのものじゃなくて、あなたのドキュメンタリーだ。あと参加してくれた人、聞いて「これは自分だ…」と思った人、全員のものだ。ライブで会うたびに、嬉しそうに近況を話してくれたことをわたしは死ぬまで忘れないでおくよ。これまでも、残念ながら別れてしまった人の顔も、全員覚えてるから。女々しいだろ、でも本当に全員覚えているんだよ。そしてなぜかみんな、近況報告をしてくれるときの嬉しそうな表情で止まっている。
 
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あなたのドキュメンタリーという詩を読み続ける限り、何回でもあなたの存在を声に出して伝えられる。わたしはあなたを忘れないから、そっちでもわたしのことを忘れないでいてくれ、頼むよ。載せてもらった記事とか雑誌とか、みんなに広めてくれてありがとう。図々しいことを言うとさ、そっちでも広めといてほしいな。
 
わたしはできるだけ絶対、こういう熱血な気持ちのださい朗読をやめないでいるね。だからやっぱり、できるだけどうにか死なないでほしいんだ。人と出会ったら互いの人生に触れて、生きてきた道が交わってしまうから。それぞれのあなたが生きてきた道をなぞることはできなくても、知っていてほしい。こうやって交わる瞬間があるということを。
 
だからさ、できるだけどうにかして死なないでほしいんだ。
 
わたしは、今まで起こったできごとを全て連れて生きていくからな。
 
今後の出演予定
 
■2月10日(金)
詩い手ワルツVol.1@Last Waltz by shiosai
【出演】成宮アイコ(朗読詩人)+青山祐己(ピアノ伴奏)・村山辰浩(fromカサリンチュ)/suzumoku
■2月19日(日)
NO BULLY WORLD 〜差別の壁を取り外そう〜
【会場】蒲田教会 礼拝堂 ※成宮アイコ(w/青山祐己・タダフジカ) 形態で出演
■2月25日(土)
「140文字以上のつぶやき〜カウンター達の朗読会プレゼンツ プレイベント第1弾」
【会場】阿佐ヶ谷駅徒歩3分・予約の方にのみお伝えします ★予約はcounter.roudoku@gmail.comまで
■3月12日(日)
「我々のモコモコニャンニャン」
【会場】無力無善寺 ※成宮アイコ(w/こもりひき) 形態で出演
■3月16日(木)
「なにかあったらいってね」
【会場】三鷹おんがくのじかん ※成宮アイコ(w/青山祐己) 形態で出演
■4月16日(日)都内
※成宮アイコ&青山祐己 形態で出演予定
■4月29日(日) 釜ヶ崎プロレス オープニングアクト(大阪)
【会場】三角公園(西成・釜ヶ崎)【オープニングアクト】成宮アイコ+垣井しょうゆ
■5月14日(日)都内 
coming soon…
■5月20日(日)都内
coming soon…
■6月4日(日) 釜ヶ崎・難波屋ライブ(大阪)
coming soon…
■8月26日(土)都内
coming soon…
■8月27日(日)都内
coming soon…
 
プロフィール

成宮アイコ(なるみやあいこ):ロフトプラスワンで開催している”生きづらい人間集結!”を合言葉としてお笑いを交えたパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」メンバー。ネイキッドロフトで不定期ライブ「カウンター達の朗読会」を主催。詩や短歌を絶叫朗読するスタイル。サブカルクソ野郎のテンプレを体現していたらついうっかりロフトへ入社。サブカルってマジョリティじゃん?と錯覚する毎日。

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