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成宮アイコ編集部日記タイトル

デッド オア スクリー厶!釜ヶ崎の中心で「このライブは復讐じゃない、約束だ」と叫ぶ 2016.10.20

 
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世界など変わらなくても釜ヶ崎に希望のはしっこ1mmがある
いつもは「心臓」のところを「釜ヶ崎」に変えて叫んだ
 
デッド オア スクリー厶!
…的に追い詰められて始めた「詩の朗読」(※暫定)が、日本の各地 / 行きたい場所へ行ったり、会いたい人に会う手段になるとは思わなかったな。もう死ぬしかないように思えていたあの時に生きる手段がこれしかなくて本当に良かった。(でもあの欝絶頂期へは二度と戻りたくないし、生まれ変わっても同じ人生がいいとは言えないけど。)
 
数年前、人生にロンググッドバイをしてしまいそうなころに訪れてから、定期的に通っている釜ヶ崎。あの街のど真ん中にある三角公園で朗読をすることが近年の夢だったのですが、先日2016年10月9日に、ついに、叶ってしまいました。
 
 
なんと、ずっと出たいと言い続けてきた「釜ヶ崎SONIC」というイベントに成宮アイコ+垣井しょうゆ(釜凹バンドメンバー /大阪でのライブでタッグを組むギター&のこぎりを弾くSSW)形態で出演させていただいたのです。
 
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左:大阪のお母さんことタッグを組んでくれているしょうゆさん
右:超絶優しいのぼるさん
 
わたしの朗読は1本が長いから、ちゃんと聴いてもらえるのだろうか…とちょっと不安な気持ちでいたら、釜凹バンドのぼるさん(朗読詩「チョコ甘いって笑いながら生きるのがわたしの愛だ」に登場する"のぼるさん"です)が不安を察してか隣に来て話しをしてくれました。
 
「今、俺はな、やっと自分のことを好きになれたんや。
ずーっと自分のことをダメな男やと思ってたんや、
男はあまり自分のことを語らんからな、
でもみんないろんな想いを胸にジっと持って寂しいんよ、
だからアイコちゃんの叫びに自分が重なるんよ」
 
そんなのね、そんなこと言われたらね、もう泣いちゃうからな!のぼるさんとは話しているとよく一緒に涙ぐんでしまうなぁ。
 
よし!と思い、ステージへ登ると「あっちゃーん!」と名前を呼んでくれる方たちがいたので、しょっぱなから涙が目尻にたまってしまいまいした。釜ヶ崎へ行くと、普段押し込めている気持ちが100%放出しっぱなしになるので、すぐに泣いてしまうから困るよ。(嘘、困らない、幸せ。)
 
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ちなみに「あっちゃん」というのは、不登校で学校に友人がいなかったわたしはあだ名をつけてもらったことがなかったのだけど、釜ヶ崎に来て仲良くなったおっちゃんから「俺は横文字が苦手だからさぁ」と照れ笑いをしながらわたしのことを「あっちゃん」と呼んでくれるようになったのですが、それが人生で初めてもらったあだ名なのです。(でも別に「アイコ」って横文字じゃないんだけどなぁと思ったけどつっこまないでおきました。)そんなことがあり、あの日から、釜ヶ崎での出会いはわたしの愛になりました。ほんとだよ。
 
朗読前にこのお話をしたら、あちこちからおっちゃんたちが「あっちゃーん」と声をあげてくれて、何だってこの街はこんなに愛(ときおり怒号)で溢れているんだろうかと、嗚咽が漏れそうになるのを必死で我慢しました。
 
さらに、この日、Youtubeで動画を見てくれて、今日のために初めて釜ヶ崎に足を踏み入れたという女の子が来てくれていたのですが、ふとその子を見たら、地面のゴザではなくてイスにちょこんと座っていて、後で聞いたところ、おっちゃんたちがイスを持ってきてくれて座らせてくれたり、トイレはうちの店のを使っていいからねと声をかけてくれたりしたそう…人間愛にあふれた街だなぁとまたグっと来てしまった。
 
この日に連れていった詩は、みんなから人生の忘れたいけど本当は忘れたくない大切な出来事を募集して、わたしが詩に構築しなおした「その足元にまでも」です。
 
成宮アイコ+垣井しょうゆ「その足元にまでも(朗読)」@釜ヶ崎ソニック2016 

 
この動画の9分と少しからしょうゆさんが宮沢賢治の星めぐりの歌をうたいはじめるのですが、全編は長いからそこからだけでも聴いてもらえたら嬉しいです。
 
大好きな街に向かって、言葉を投げるのはとても幸せな時間でした。何度も訪れた釜ヶ崎の三角公園、何度も見た風景、街灯テレビ、ブルーシート、砂利のまざった砂、公衆トイレ、キャッチボールをする子供、それをベンチでお酒を片手に眺めるおっちゃんたち、ドヤの隙間から見えるあべのハルカス、寄り道する立ち飲みの難波屋、ハイボールを買う自動販売機、声をあげて泣きながら歩いた動物園前一番街。何度この風景に助けられて、何度この街に逃げ込んだことか。
 
この詩を読んでいると、他人のエピソードが自分に重なる瞬間があって、読みながら自分のことだったのか他人のことだったのか訳がわからなくなります。全て自分の気持ちにも思えたりするのだもの。でも、だって、確かに同じ気持ちの記憶があるのだ。自分の人生の中に。そしてその時にね、いつか感じた「苦しい・寂しい・死にたい」が「エピソードの持ち主の誰か」と共有されていく。ひゅーって吸い込まれていくあの感じ。応募してくれた人のエピソードがいろんな場所でいろんな人のものになる、だからこの詩はいろんな場所に連れて行きたいのです。
 
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このフェスはソーラー発電と自転車発電でまかなっているため、
夕方になってくると自転車を必死にこがないと音がきえちゃう。
みんなで交代して一生懸命こいだ。超楽しかった。
 
詩を叫ぶと、誰かの感情がいろんな人の中で補完されます。さらに、それぞれの感情も付け足されて、まるで雪だるまみたいに大きくなっていったりもします。孤独で消したいとさえ思ったはずの記憶、押し殺し続けた自分の黒歴史、それも全部ね、こうしてみんなで生きて取り戻せるような気がするんだよ。
 
朗読中、公園のあちこちからいろいろな声が飛びました。
 
「ありがとう!」
「みんな一緒やでー!」
「釜のアンコも同じや、一人や!」
(※アンコ=日雇い労働者。一定の場所に大勢集まって仕事を待っていたが、その状態が海底にいてほとんど動かずにえさを待っている魚のアンコウのようだというのが語源とのこと)
 
一番自分が馴染む大好きな街で、そこに住む方たちから「同じや」「みんな一緒やで」って言ってもらえたことは、夢のようでした。ここにいてもいいんだなぁ、と全力で自分を肯定してもらった気持ちでした。あと、終わったあとに、おっちゃんたちが涙を流しながらたくさん声をかけてくれて、来てくれてありがとうなんて言ってもらったりなんかして、幸せで安心して倒れてしまいそうでした。しょうゆさんと「ほんとうに幸せな風景だね」と何度も何度も言って、公園を眺めながら、スーパー玉出で買った100円の焼きそばと50円のアップルパイを半分こして食べました。
 
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朗読中、自然と口から出た言葉があります。
 
「このライブは復讐じゃない、これは約束だ。
これは復讐じゃない。約束だ。
わたしたちは一緒に生きて絶対に叶えるからな、
一緒に人生を全うするんだからな」
 
もともとこの活動を始めたのは、学校で悪口を言ってた人やいなくなった家族への復讐でした。でも、いつの間にか違っていたんだな。だから、無意識に口から出た言葉を振り返って驚きました。復讐じゃなくて約束。そっか、これはもう、復讐ではなくなっていたんだな。寝る前に、例のごとく怒号や何かがフェンスにぶつかるドシャーンという商店街の音を子守唄にしながら「復讐じゃなくて約束になるなんて、すごいじゃん、やるじゃん」って、ちょっとだけ嬉しかった。初めて言うけど。
 
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のど自慢大会の審査員中。
めちゃめちゃに笑ったし、哀愁と熱情がすごかった。
 
出番が終わったあと、わたしに「あっちゃん」という名前をくれた張本人のおっちゃんが「いいライブだったね。父のお墓に東京に娘ができたって手をあわせてきたよ」と言ってくれました。
 
押し殺してきた言葉を声に出せばこうしてどこまでも流れて行けそうだ。
 
デッド オア スクリー厶!
あの時のわたしにとって生きる手段がこれしかなくて、本当に良かった。
 
◼︎掲載情報
【新聞】長野県の「信濃毎日新聞」に松本市でのライブについて10/21掲載予定
【インタビュー全2回】虹の会機関紙『SSCにじ』(スーパー猛毒ちんどんのところです)次号とその次に掲載予定
【巻頭対談】9/1に発行 自殺防止小冊子「死ぬな!5号」成宮アイコ×村山賢
【ロングインタビュー掲載】スポークンワーズ・マガジン「どんと、こい!」vol.5(通販できます)
【書籍】「フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。著:肥沼和之」に取り上げていただきました
【短歌連載】大衆文藝ムジカにて短歌連載「The 饗宴」
 
◼︎出演予定 
【長野】2016年10月22日(土)
「生きづらさを抱えるすべての人への人間賛歌
〜Painting vol.1 〜」@Give me little more.
【東京】2016年11月3日(木・祝)
「スーパー猛毒ちんどんvs成宮アイコ+タダフジカ+Tokin
逆襲のロックショー~オレたちは馬小屋で産まれてない~」
@幡ヶ谷CLUB HEAVY SICK
【東京】2016年11月12日(土)
某ライブにゲスト出演します(詳細は後日)
【東京】2016年11月23日(水・祝)
青山祐己&成宮アイコ ツーマンライブ「ぼくの理由ときみの理由」@西荻アートリオン
【東京】2016年12月1日(木)※トークです
村田らむプレゼンツ ゲンバシュギ!! vol.7 「宗教のゲンバ 1回目」
【新潟】2016年12月11日(日)
こわれ者の祭典・新潟公演「LGBTを考えよう!」@新潟市総合福祉会館 多目的ホール
【大阪】2016年12月18日(日)
「成宮アイコ+釜凹バンドツーマンライブvol.2 in 釜ヶ崎・難波屋」@難波屋
【千葉】2016年12月23日(金・祝)
「吹く詩の宴 10周年アニバーサリーイベント」
【東京】2017年1月7日(土)
「こわれ者の祭典・東京公演」@新宿ロフトプラスワン
 
 
 
 
プロフィール

成宮アイコ(なるみやあいこ):ロフトプラスワンで開催している”生きづらい人間集結!”を合言葉としてお笑いを交えたパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」メンバー。ネイキッドロフトで不定期ライブ「カウンター達の朗読会」を主催。詩や短歌を絶叫朗読するスタイル。サブカルクソ野郎のテンプレを体現していたらついうっかりロフトへ入社。サブカルってマジョリティじゃん?と錯覚する毎日。

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